日常点検記録表をExcelVBAの繰り返し処理で自動作成する　その１

運送業界は他業種に比べてIT化が遅れていると言われますが、Excelを仕事で使っていない人はいないでしょう。
でも、中小運送会社のほとんどの人はExcelを表計算ソフトや文書作成ソフトとしてしか使えていないのではないでしょうか。

運送業界の人手不足が深刻な問題になっているいま、トラック運転者の確保だけでも大変なのに総務や売上管理などの事務処理をこなす中小運送会社の事務方は日々大変な思いで業務に取り組まれているのではないでしょうか。

でも、ほんの少しExcelに手を加えるだけで、毎日行っている仕事の時間を短縮することがでるのです。

それではさっそく運送会社で必ず作成しなければいけない日常点検記録表を自動作成してみましょう。

日常点検記録表は車両ごとに作成しなければいけませんから１か月ごとに作成するとしても、車両が１０台であれば毎月１０枚、５０台なら５０枚と作成する必要がありますよね。

あなたの会社では、どのようにこれを作成していますか？
表１枚ごとに車両番号や担当者名など入力して、１枚ずつ印刷していませんか？

一般的な日常点検記録表は、１日単位又は１か月単位で作成しますが、通常１日単位で作成することはよほど車両台数が少ない場合でない限りはせず、１か月単位で作成する下記のような表が多いと思います。

Wordの差し込み印刷を使っても可能ですが、今回は省略します。

１．まず、ExcelファイルのSheetを２つ作成します。
　　シート名は、「点検記録表」と「車両台帳」にします。

２．点検記録表シートには、先ほどの日常点検記録表を作成し、車両台帳シートには車両番号などが入ったテーブルを作成します。

３．次に点検記録表の年月、車両番号、車種、担当乗務員の各欄のセルに数式を入力します。

• 年月セルには、=YEAR(TODAY()+10)&"年"&MONTH(TODAY()+5)&"月分"
• 登録番号セルには、=INDEX(車両台帳!$H:$H,MATCH($A$1,車両台帳!A:A,0))　　←　H:H　は登録番号
• 車種セルには、=INDEX(車両台帳!$D:$D,MATCH($A$1,車両台帳!A:A,0))&"t"　←　D:D　は車種
• 担当乗務員セルには、=INDEX(車両台帳!$I:$I,MATCH($A$1,車両台帳!A:A,0))　←　I:I　は乗務員名

各数式の説明ですが、年月セルの　Year(Today()＋１０)　と　Month(Today()+5)　は、翌月分の点検表を前月末に作成するため、作成する日（月末）に一定の日数を加えて翌月の年月になるようにしています。
登録番号、車種、担当乗務員各セルは、車両台帳シートからINDEX関数で各値を点検記録表の　A1セル　の値を検索値として参照する設定です。

良くあるのですが、この点検記録表シートは、A1セル以外セルの書式設定からロックをかけて、シートの保護をしておいた方が良いと思います。
このExcelファイルを他の人も使用していて、セルに入れている数式を消された経験があります。
なお、ファイル形式は、マクロ有効Excelファイルとして保存します。

４．そして、開発タブからVisual Basic Editorを開いて、挿入タブから標準モジュールを選択します。

このような標準モジュールフォルダの中に　Module1　という標準モジュールができ、これにマクロコードを記述することができます。

コードはこのようになります。

５．コードの記述ができたら、Visual　Basic　Editor　を閉じて、点検記録表シートに戻り、開発タブのマクロをクリックします。

これで毎月、何十枚もの点検記録表を出力する作業がほんの数分で終わりますよ。